今回は趣味でゲーム個人開発している人のTwitter運用について考えた記事です。
(最近、色々と考えさせられることがあったので)
ざっくり言うと
1日1回のゲーム開発進捗tweetだけで、
半年程でフォロワー1000人増やした話です。
これまでの実験の結果を踏まえて振り返りをするので、
何か参考になる部分があれば幸いです。
▼私がSNSで発信する理由
まず、なぜ開発進捗をSNSに投稿しているのかという話。
私の場合はコレ↓
・まずは自身の存在を知ってもらうこと
・そして作品に興味を持ってらうこと
・公開したときに遊んでもらうこと
・次の作品にも興味を持ってもらうこと
・そうして作家としてファンを増やすこと
特に、パブリッシャーもついていない
個人開発者が自身のファンを増やそうとした場合に最も手軽な手段がSNS。
さらに重要なモノがもう一つ。
・思いついた面白いアイディア
・様々なパターンのグラフィック
などを試しに投稿して「その反応を見れる」ということ。
営業界隈などで言う「テストクロージング」に近いもので
販売前にユーザーの反応を程度知れるという大きなメリットがあります。
ですが、
目的を達成するためには様々なハードルがあります。
「見てもらう、興味を持ってもらう」ことを目的とする以上、
読者の目、求められているモノを考えて投稿した方が効率が良い。
何も考えずに投稿して「見てもらえたらラッキー」でもよいのですが
SNS運用の時間的コストも0ではありません。
私個人としては、SNS自体を楽しんでいる部分もありますが
結果が出ないならやる意味がないと思っているタイプです。
ってなわけで、
分析を元にインプレッションを伸ばすための実験をしておりました。
その経緯と結果を以下にまとめます。
▼実際に発信した結果と実験について
まず、私のアカウントの運用方法について。
・基本的には1日1tweet
・ゲームの開発進捗以外はほとんど投稿しない
・朝の出勤前に投稿する
という運用です。
実際、進捗tweetで見てくれる人を増やすのは難しかったのですが、
伸びやすいツボさえ抑えておけば、一定まで伸びました。
実験開始したのが2021年の8月ごろから半年。
まずは実験結果だけまとめます。
増加フォロワー数
2021年:8月 → 新規8(いつもこの程度)
2021年:9月 → 新規65(伸び始めた)
2021年:10月 → 新規96
2021年:11月 → 新規66
2021年:12月 → 新規172
2022年:1月 → 新規371(ピーク)
2022年:2月 → 新規194
2022年:3月 → 新規40(ネタ切れ)
くらいの推移です。
今年の1月が一番伸びました。
簡単にまとめると
・ピーク時にひと月で371人増加
・実験開始から半年と少しで合計約1000人増加
という狙い以上の数字になってくれました。
その間、自分からフォローしてフォロバしてもらうパターンはほとんど無し。
純然たる自然流入勝負。
▼なぜ1月に伸びていたのか?
それを説明する前に、
まずSNSで伸びやすいのは、
1,シンプルに楽しいモノ
2,ビジュアル的に好きなモノ
3,共感できるモノ
4,有益な情報
などでしょうか。
しかし、全く同じ投稿でもTwitterの仕様に阻まれて伸びなかったり、
逆にそれを回避して投稿するとやたらと伸びたりすることもありました。
そしてTwitterの仕様について詳細まで把握しているわけではないのですが、
投稿が途切れるよりも「有効なtweetを連続して投稿」した方が、全く同じ内容でも明らかに伸びやすい印象でした。
(とはいえ、予告なしに仕様は変わるのであてになりませんが)
というわけで、
導き出した結論が
「自分が一番得意なモノをストックして連続で一番伸びるように出したらいいのでは?」
ってことでした。その結果、1月に伸びました。
▼実際に投稿した自分が得意なモノ
私の場合、ステージ背景や演出など
ビジュアル面での進捗に対してtweetが伸びることが多かったので、その方向性で行きました。
さらには、今回は私自身の作品のファンを増やしたかったので
アセットを使った背景ではなく、Blender等を使って自作した背景やテクスチャ素材多めで勝負しました。
水面の表現やシステム自体は購入したアセットです↓
▼他の手法の実験結果
ここで、それ以外の運用では伸びなかったのか?という疑問。
今回の実験より前の1年間、
・開発進捗tweetをしながら、要所要所で伸びそうなtweetを混ぜる
という手法をとっていたのですが、それは結果的に失敗でした。
本来なら伸びるポテンシャルがある進捗tweetも、
勢いに乗っている状態で投稿しないと威力が激減していました。
以前、「コレ、絶対伸びる!」という自信があったのに全然伸びなかったtweetがあり、
それをこっそり連投実験中のタイミングで文面も動画もほぼ同じで混ぜてみたら
以前の5倍以上伸びていました。
そして、フォロワー数の増加具合の計算として、
RTが増えて「100いいね」を超えたtweetがあると、
それに対してフォロワー数が増え始める傾向があったので、
・有効なtweetを散らして要所要所で出す手法
ではその壁を突破できなくて低空飛行が続きました。
▼得たモノ
正直、リリース直前以外の変なタイミングで
フォロワーやインプレッションだけ増やしても何のメリットもありません。
一時的にモチベーションが上がるかもしれませんが、
逆にフォロワー数が減ったりtweetが伸びなくなるとモチベが下がるので。
そうなると「SNSでチヤホヤされること」が目的になってしまうので
ゲーム開発じゃなくてもよくなってしまいます。本末転倒。
というわけで、今回の実験はそれ自体がメリットになるように企画しました。
(ってか最初はホラー系銃撃戦ゲームだったのに急にしれっと企画をすり替えた)
まず、今回の企画は
・綺麗な環境を主人公が歩くだけ
・背景のモデル、癒される環境音がメイン
・背景は可能な限りシンプルに
・要所要所で岩やタイルなどのテクスチャを貼って雰囲気を出す
というもの。
そして、私自身は個人開発者である前にUnityアセット制作者。
出しているアセットは
・短い秒数なのに綺麗にループする環境音
・256×256という超軽量ながらタイリングで高解像度対応できるシームレステクスチャ
という二種のアセットを販売しています。
つまりは、その二つを極限まで目立たせる企画なのです。
ということで、
・tweetが伸びる
↓
・見る人が増える
↓
・アセットを買ってくれる
という流れができて、
普段よりも売り上げアップしました。
そのお金でまたアセットを買って効率が上がり今後につながりました。
ゲームを個人で作るには、人間の寿命はあまりにも短いです。
なので全てを考えて設計して無駄なく活動したいのです。
▼負の側面と失敗した部分
しかし、良いことばかりではありません。
ピーク時の伸び幅はあっても、それを過ぎるといつも通りに戻ります。
つまり「伸びやすいtweet」ネタ切れしたら終わりということです。
専業のビジュアルアーティストと違い、
「ゲーム個人開発者」は目立たない地味な成果物も多く、
さらには作業の大半がSNS映えしないという致命的な欠点があります。
かといって、先ほども書きましたが
SNSで目立つだけを考えるとゲームが完成しなくなります。
以前、私はSNSでモチベを上げて開発を続ける話なども書きましたが、
それだけが目的としてすり替わってしまった場合は
いつまで経ってもゲームが完成しない偽ゲームクリエイターが出来上がります。
それに対して、今回のようなビジュアル面でのストックと連投という形をとりましたが、
結局のところ実装作業も同時に増えていくので「ゲーム自体が完成しなかった」という結果に。
久々に帰った実家の家族にも「いつ完成するの?」と言われてへこむ。
例えば、
商業的に成り立っているチームなら
ビジュアル面での制作と地味な作業を分業することで
常に息切れせずに投稿してSNSできますが…
人を雇って莫大な金を使って、
遊ぶ時間も寝る時間も惜しんで自分の理想のゲームを作る。
それでも売れるかどうかわからない。
もし外したら莫大な金銭的損失が残り、
文字通り人生をかけて制作に挑んできた作品を否定されると
人生を否定されたような気分になる。
(想像しただけで滾ってしまいます)
ただの趣味にそこまで賭けられるギャンブル狂は少ないと思います。
▼そのことから導き出した解決策
得意なモノを探して伸ばしていくしかない。
技術的に、実力的に、強くなろうと決心しました。
SNSの数字に惑わされず、強い心を持つこと。
そして、これらの実験結果については
「あくまでも今の私の実力から導き出したやり方である」
ということであり、
もっとビジュアル面で強い人なら壁を突破してRT拡散されてフォロワー数も伸びたりするので
正直、このような小細工は不要だと思います。
しかし、そんなビジュアル面でも強くて、さらには開発技術もあって時間もある人などそうそういない。
だったらどうするか。現状を見直して実力に合わせたプランを考えてみることに。
▼私自身の現状について
現在はゲーム自体完成させるために自分のレベルに合わせたゲームを考えて企画しています。
・なるべく簡単な仕様で楽しませるゲームを企画する
→例の歩くだけのゲーム
結局、ゲーム性自体が面白くない気がして保留にしてます。
(現在、面白くなるアイディア検討中。思いついたら急に作業に復帰するかも。)
・ゲームとしての骨組みを先人が作ってくれている企画に挑戦する
→スマホ向け脱出ゲームを制作中
という流れです。
スマホゲーについては、思ったよりも地味な実装と調整が多く、正直舐めてました。
実は実験開始の直前、2021年の5月ごろには企画自体が出来上がっていたのですが、
当時は直前までフォロワー数が伸びていたタイミングだったのに
コレ(スマホゲー)の開発を進めた瞬間にフォロワー数が激減して、
投稿に対するリアクションもほとんどなくなったことでモチベが落ちた経緯もあります。
(そうです。私が思いっきりSNSの数字に惑わされる偽ゲームクリエイターです。)
その後「あぁー!!SNSでチヤホヤされてぇーなぁあ!」と思って
ビジュアル面でのアイディアをストックしたのですが
それをやってどうなる?何が得られる?と考え直し、
上記のようなアセットストア流入への仕掛けをしたり、
実験後は「より面白いゲームになるまで投稿せずに裏でストックし続けよう」と思い今に至ります。
(ベストなのは、ゲームを完成させてから数か月かけて
リリース準備と情報公開、インプレッションがピークに達したときにリリース)
かといって、また次に連投できるまでネタが貯まるまで全くtweet無しもどうかなと思ってます。
なので、伸びないだろうなと思いつつも進捗は可能な範囲でアップしています。
全くtweetしないパターンも以前試してみたこともあるのですが、
そうなると次に投稿したtweetが伸びるようになるまで
物凄く時間がかかってしまいました。
なので伸びづらくても何かしらの投稿を続ていれば、
普段見てくださっている方々が「コレはいいね!」と本気で思った時に拡散してくれるので続けます。
そして、表向きのスマホゲー開発と投稿を続けながら、
裏では一度保留にした本命「歩くだけのゲーム」を研いでおきます。
スマホゲーのリリースで得たモノをPC向けゲームに活かしていきます。
ということで、今後とも暖かく見守ってくれたら嬉しいなって思います。
長い文章でしたが、読んでいただいてありがとうございます。
▼あとがき、おまけ(不確定要素と調整)
ここから先は明確な話ではないのであくまでもおまけとして書きます。
(確証がないので妄想話として聞き流してください)
Twitterの仕様による伸び方の問題もあり、
上記の内容以外にも微調整も必須でした。
特に、タグや投稿の仕方によっては目立たないどころか
いわゆるシャドウバンのような形になって他人の目に映らない状態にされたこともあったので。
ということで、以下に色々と気にしていた部分をまとめ。
・曜日によって伸び方が違う
自分の場合は木曜日が異常に伸びる。時間帯としては9時がベストだった。
(しかし、出社時間が安定しないのと予約投稿も連発するとインプレッションがあからさまに下がったので時間はまちまち。)
・動画が一番伸びやすかったが、その長さも関わってくる
動画が最後まで再生されたかどうかのデータも自身で確認することができ、それらも判定にかかわっていると思われる。
尺が長すぎると最後まで見てもらえずに伸びが悪くなるが、逆に短すぎても伸びづらかった。
最終的に自分の場合は30秒前後が一番伸びやすかった。
そして、最初の数フレームで一番興味を引けるように目立つモノを持ってくるように。
プレイ動画にしても、不要な部分はガンガン削ってから投稿してます。
・タグを付けるか付けないか
仕様は公開されていないので予測に過ぎないが、タグを増やせば増やすほどハードルが上がり、初動でそのハードルを越えられないと逆に全く露出が無くなって伸びなくなった。
・特定のキーワードを含めるか否か(トピック機能?)
進捗、だけだと伸びないが、ゲーム開発進捗という単語を入れると伸びた。
タグに比べてRTは伸びないが、フォロワー外からのいいねが増えた。
・文章の長さ
あまり長い文章だったり、複数のトピックにまたがるようなキーワードがいくつも含まれていると露出を減らされる気がします。
これも自分の場合はですが、統計的に短い文章+30秒動画が一番伸びやすかった気がします。
・それらをどのタイミングで付けるか?
実験当時は同じタグを連続で投稿すると、3回目あたりのtweetでインプレッション激減しました。
なので一番伸びる木曜日にピークを合わせるようにして、
タグもキーワードも無しの投稿を土日で出す
↓
月曜日でキーワード投稿、見てくれる人を増やす
↓
火曜日でタグ付き投稿
↓
水曜日で何もなし投稿
(仕様上、何もつけなくても前回まででリアクションした人の目には映るっぽい)
↓
木曜日でタグ付き投稿
という流れが一番良かった気がします。
(しかし、仕様は明言されていないので勘違いである可能性も否定できず。)
そういった仕様は常に変化していくので
それらに対応するには、
・投稿を連続する上で調整しながら考察する
・そのためにはストックを沢山持っておく必要がある
・仕様を作っている人がユーザーに何をさせたいのか考える
・過去の歴史から考察する
などの思考を持つしかないかと思われます。
特に過去のインターネットの歴史から見る事例としては、
ブログ全盛期の検索エンジン対策とその変遷と似たような動きを辿っているところがあるので
それらを踏まえて考察するようになってからはインプレッションが伸び始めました。
(コレについては複雑で長くなるので今回は省きます)
この手のインターネット史については、
次々と新しい情報が出ては消えて波にのまれていくばかりで
中々信用に足る一次史料が見つけづらいところもありますが
うまくまとまってくれれば今後の役に立ちそうな予感もしております。